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採用情報

OUR EMPLOYEES インプレスグループで働く人々

憧れの作家との取材で得られた貴重な経験を糧に

2021年4月 新卒入社

T.T.

株式会社山と溪谷社所属

現在の職種:編集

これまでのキャリア

  • 株式会社山と溪谷社 山と溪谷編集部

入社を決めた理由

学生のころは探検や冒険に憧れを持っていて、サークル活動で登山や川下りなどのアウトドアと、遺跡調査などのフィールドワークを行なっていました。大学卒業後はそれらを趣味として続けたいと思いました。仕事はその資金を作るための手段と考えましたが、どうせ働くのであれば、資金以外の面でも趣味のプラスになることを、仕事にしたいと考えました。山や自然に関する本を作ることを仕事であれば、毎日仕事をするなかで山や自然に関する情報を広く深く吸収することができ、趣味で登山やフィールドワークを行なう上で大きなプラスになります。

また、探検や冒険にまつわる記事や本を作りたいという気持ちもありました。まだ世に知られていない探検・冒険譚を私自身知りたいと思っていて、そんな話を世に広めたかったのです。それは、仕事が趣味のプラスになると同時に、趣味が仕事をする上で大きなプラスになることでもあります。趣味とリンクしたこのような仕事であれば、情熱を維持して臨めるだろうと考えました。そういった理由から、自分の趣味と合致する「山・自然」を専門とした出版社である、山と溪谷社に入ることを決めました。

現在の業務内容

私の主な仕事は、月刊誌『山と溪谷』で毎号自分の担当記事を完成させることです。弊誌の編集部員は10人ほどいますが、毎号それぞれで記事を持っており、毎月一冊の雑誌を作り上げています。特集などの大きな記事のかたまりは、4人ほどの班で分担して作るので、特集や雑誌のなかでの担当記事の役割を確認しながら、整合性が取れるように編集部内で確認し合いながら進めています。

記事が完成するまでには、記事の目的を明確にし、構成を決め、取材などで素材を集め、整理して配置し、誤りがないか確認する、というような行程を踏みます。編集はそのすべてに関わりますが、自分一人ですべてを行なうわけではありません。原稿執筆ならライター、写真撮影ならカメラマン、記事のデザインならデザイナーというように、専門的な知識と技術を持ったプロフェッショナルに依頼します。そうした取引先と記事の精確なイメージを共有して一つのまとまった記事にしていきます。自分でしたほうがよいと思った場合は取材や原稿執筆などを行なうこともあります。毎号担当する記事は複数あるので、それらを同時進行させているほか、翌月・翌年の記事の企画や準備なども行なっています。

Q&A

今までの業務を通してあった印象的なエピソードを教えてください

入社2年目の春、私が学生時代に本を読んでいた作家の記事を担当する機会に恵まれました。それは無人島にそびえ立つ奇岩の謎に迫るルポルタージュでした。打合せを何回か重ね、記事の方向性を決めて、その作家と一緒に取材に行きました。取材では地元の学芸員らに話を聞き、さまざまな場所を訪れながら、作家が謎の核心に迫っていく過程を目の当たりにして、胸が高鳴りました。その知識量や柔軟な発想に驚き、取材の仕方としても大変勉強になる貴重な体験でした。この取材では、カメラマンを同行させることができなかったので、私が撮影を行ないました。そのために記事作成の段階で使える写真が少なくて苦労しましたが、よい経験となりました。

その記事を作るにあたっては、作家の文章が作る世界観を壊さず、雑誌の読者に読んでもらえるようにレイアウトを組むことに苦心しました。しかし、作家やデザイナーなどと何度もやりとりしながら、記事を作りあげるのはとても充実した時間でもありました。そうしてできた記事は反省点も多かったですが、関わることができてよかったと心から思う記事となりました。また、さまざまな人から「おもしろかった」という声をもらい、それもまたうれしいことでした。

印象的な失敗もあります。それは入社1年目の夏、雑誌内の記事で有識者に書評を書いてもらったときのことです。その記事の執筆をしてくださった著者とのコミュニケーションが足りておらず、書影の載せ方や校了直前に文章内の表現を無断で変更したことで、伝えたかった事と記事の内容が違ってしまった、と伝えられました。著者の声や言葉を軽んじていたこと、記事を作り上げていく際のコミュニケーション不足を実感した体験です。私はコミュニケーションをとることが苦手だと自分で思っています。頭で思うことはあっても、それが頭の中でまとまるまで時間がかかり、いざ話そうとすると言葉につまることがよくあります。また否定されることが怖くもあります。しかし、伝えなかったり聞かなかったりすることが原因で後々トラブルになることを経験してからは、怖くても話そうと思えるようになりました。まだ徹底できていないと感じることも多いですが、できる限り著者などの取引先の意図を考えて、情報を充分に整理してから話すことでその怖さが軽減しています。

仕事のやりがい・面白さはどんなところにありますか?

自分で一から企画した記事が実現させることがおもしろいです。はじめは「こんな記事を作りたい」と、一言でしか表せないくらい大まかな思い付きから始まります。それを雑誌内で実現させるためにどういう目的でどういう構成の記事にするか決めていきますが、これが編集作業のなかで一番難しいと感じています。最初は誌面のイメージがわかないので、本当に記事になるのか不安になります。しかし、記事の目的やターゲットなどを考えていくことで、要素がそぎ落とされ、その記事で「やりたいこと」が明確になっていきます。次にそれをどう表現するか(構成)を考えますが、ここでも悩みます。バックナンバーなどを参考にしながら、仮の構成を決めて、ほかの編集部員に意見をもらってまた考えて、ということを繰り返すうちに徐々に記事のイメージが鮮明になっていきます。仕事している時間全体でみると、その先の素材集めやレイアウト作成、校正などの手を動かす仕事の方が行なっている時間は長いですが、企画を考えることが最も大変で、充実しているように思います。そうして悩んだ記事を最終的に校了したときの達成感も格別です。

仕事をする上で大事にしていることは何かありますか?

心身の健康を保ち、仕事に集中できる状態や環境を作ることです。そのためには第一によく寝ることが大事だと思っています。寝不足になると仕事の効率が落ち、やる気もそがれて仕事へのモチベーションも下がります。寝不足であっても校了前など緊張感を保った精神状態であれば、一日二日の短い期間に限り正常に頭が働くように思いますが、それを長期間続けることはできません。次に余暇を充実させることを大事にしています。昼休みにはおいしいものを食べながら仕事とはまったく関係ない考えごとをしたり、余った時間で古本屋をまわったりしています。仕事終わりや休日は登山や読書など、趣味に時間を割いています。余暇を充実させることで、仕事と生活とのメリハリが生まれ、仕事に集中しやすくなると感じますし、自分が今の働いている意味も強く感じられ、それがまた仕事へのモチベーションを保つことに繋がっているように思います。また、私は自宅で作業をしているとどうしても仕事に身が入らないことが多いので、会社で作業することが多いです。会社で仕事をしている合間に社員と話すことも、いいリフレッシュになっています。

2022年5月に取材で訪れた両白山地・笈ヶ岳(石川県、富山県、岐阜県)にて撮影。

インプレスグループに応募される方にひとことをお願いします

インプレスグループを志望される方の多くは、自分の趣味や興味と合致した専門を持つグループ内の会社を志望されていると思います。その専門分野を出版物として扱うことに興味があるのなら、応募をおすすめします。その場合、その趣味や興味をなぜ仕事にしたいのかと、なぜ出版なのかを、自分のなかで明確にしておくことが必要だと思います。趣味を仕事にしたとしても、自分の好きなことをしていればいいわけではありませんし、その分野の仕事は出版ではなくても探そうと思えばたくさんあります。ではなぜ専門出版社なのか、自分で納得いくまで、さらに他人を納得させられるまで考え尽くせていれば、自分の言葉や決定に自信が持てると思います。

プライベートで打ち込んでいること、趣味などがありましたら教えてください

趣味は人けのない山での登山とフィールドワークです。人けのない山での登山は、登山道が整備されておらずあまり人が立ち入らないところで、地図を読みながら沢や尾根を伝って山を歩くことです。危険はありますが、自由に山を歩き回ることができます。フィールドワークでは、国内国外を問わず、伝説や伝承など興味を持った事柄について文献を調べ、文献だけではわからないその事柄の未知の部分を、気の合う仲間とフィールドに出て、調べています。今は静岡県北部に残る南北朝時代の皇子にまつわる伝説について文献調査を進めているほか、大学生の時に行なった仙人伝説の舞台となっている中国の洞窟調査をまたやりたいと思っています。